解離性同一性障害【Dissociative Identity Disorder】
DSM−Wによる、診断基準
一般的に、多重人格性障害【Multiple Personality Disorder】とも言われている。
A 2つまたはそれ以上の、はっきりと他と区別される同一性または人格状態の存在(その各々は、環境および自己について知覚し、
関わり、思考する比較的持続する独自の様式をもっている)。
B これらの同一性または人格状態の少なくとも2つが反復的に患者の行動を統制する。
C 重要な個人的情報の想起が不可能であり、ふつうの物忘れで説明できないほど強い。
D この障害は、物質(例:アルコール中毒時のブラックアウトまたは混乱した行動)または他の一般身体疾患(例:複雑部分発作)の
直接的な生理学的作用によるものではない
注:子供の場合、その症状が、想像上の遊び仲間または他の空想的遊びに由来するものではない
ほとんどのケースが心的外傷の体験によって引き起こされると言われる。
そして、子供の発達的段階の時期や、家庭環境などの機能状態との関係により、交代人格への解離症状をつくりあげる。
20代から40代までの女性に多い。男性では、暴力化すると共に犯罪歴への報告数へ入ってしまうケースも多い。
<考えられる、心的外傷体験>
重要な関わりのあった、対象人物の喪失や喪失の予測への恐れ。
極限を越えた恐怖体験の継続。見通しのつかない孤独や、虐待、性的虐待。。
記憶を消し去りたい程の悲劇体験。パニックを起こすほどの衝撃体験。
(記憶障害にもつながる)
これらの体験から自分を分離させるため、逃避、切り離し、カタルシス的感情の排泄、嘆きの作業としての変化と考えられる。
 DSM‐Wでは解離性障害を4つの障害に分ける。@解離性健忘A解離性遁走B解離性同一性障害C離人症性障害である。
解離性ヒステリー、離人神経症とされていた時代もある。
その他、特定不能の解離性障害という分類がある。@解離性昏迷A解離性運動障害B解離性知覚麻痺C解離性幻覚
E解離性幻聴F解離性トランス障害G解離性転換性障害Hガンザー症候群など。

解離性障害の精神医学的な症状>
1 時間的・空間的健忘。人間関係の非現実的化。
2 抑うつ症状。
3 恐怖感。パニック症状。
4 薬物依存。
5 幻覚、妄想。
6 関連性のない思考状態。
7 性的感覚の転換。装飾的倒錯。
8 自殺や自傷行為。
<神経科・内科的症状>
1 ヒステリー
2 頭痛・その他の不快症状
3 運動障害
4 既往歴として、人格障害やてんかん、
感情障害などの症状が継続していることが多い。
<交代人格にみられる特徴>
1 年齢退行的人格。
2 脅迫的人格。
3 迫害者的人格。
4 自分への救済者的人格。
5 自殺願望的人格。
6 性的な衝動的人格。
7 無気力的人格。
8 お手本的、管理人的人格。
9 保護者人格。
10 自己破壊的人格。
11 悪魔など、模倣的な人格。
12 無痛感覚的人格。
13 自閉的人格。
14 異性的人格。
15 宗教的人格。
<治療としてのアプローチ>
@ 抗うつ薬、抗不安薬を用いた薬物療法。
A 治療者にも反抗的、暴力的である場合があるので、家族・保護者・仲間とのチーム関与が必要。
B 全ての人格との関わりをもつ。
C 生活環境の安定化。
D 分裂した人格と自己間の統一をしていく。
E 治療過程で失われる交代人格のための悲哀の作業を、時間をかけて丁寧に行う。
トラウマによる脳への後遺症(内臓疾患、神経症状、パニック症状などを引き起こす。)
精神的外傷を負った人の脳の中では、大きな変化が起きます
海馬の萎縮(学習や記憶、情動の調整を司る)、前頭前野皮質の血流低下 .機能不全(意識、思考、感情、推理、想像力、
統合性を司る)、脳内神経伝達物質の代謝調節障害などが報告されています。
尿中のカテコールアミンの排泄量の増加。
トラウマ想起(フラッシュバック)による、心拍数、血圧の異常上昇。
血中アドレナリン受容体の減少。セロトニンレベルの減少。(心の安定を得にくい脳内ホルモンの状態を招く)
脳波ポリグラフや電気生理学の研究から、REM睡眠(深い睡眠サイクル)で、睡眠の中断や
覚醒数の増加が起こる。


治療にはかなりの、時間と忍耐力を要し、治療者や家族との
情報の交換が必須となります。
治療を受ける本人が、治療を希望しないというケースもあります。
ご家族の方で、思い当たる方は、まず専門家へお問い合わせ下さい。


 

               

 

 

 















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