PTSD [ 心的外傷後ストレス障害 ]の診断基準 (米国精神医学会 DSM−W参照)
〔ベトナム戦争の帰還兵の多くに、生活不適応者が現れた事から取り組まれ出したと言われています。〕

A. その人は、以下の2つが共に認められる外傷的な出来事にさらされたことがある。


1  実際にまたは危うく死ぬ程、または重傷を負うような出来事を1度または数度、自分または他人の身体の危険に
   迫るような事として、その人が体験し、目撃し、または直面した。
2  その人の身体反応は強い恐怖、無力感または戦慄に関するものである。
注: 子供の場合はむしろ、まとまりのない興奮した行動によって表現されることがある。

B. 外傷的な出来事が、以下の1つ(またはそれ以上)の形で再体験され続けている。

1  出来事の反復的で侵入的で苦痛な想起があり、それは心象、思考、または知覚を含む。
注: 小さい子供の場合、外傷の主題または側面を表現する遊びを繰り返すことがある。
2  出来事についての反復的で苦痛な夢。
注: 子供の場合は、はっきりとした内容のない恐ろしい夢であることがある。
3  外傷的な出来事が再び起こっているかのように行動したり、感じたりする(その体験を再体験する感覚、錯覚、幻覚
   解離性フラッシュバック。または、覚醒時、中毒時に起こるものを含む)。
注: 小さい子供の場合、外傷特異的な再演が行われることがある。
4  外傷的出来事の一つの側面を象徴または類似した、内的または外的きっかけにさらされた場合に生じる、強い苦痛。
5  外傷的出来事に一つの側面を象徴または類似した、内的または外的きっかけにさらされた場合の生理学的反応性 。


C. 以下の3つ(またはそれ以上)によって示される、(外傷以前には存在していなかった)外傷と関連した刺激の持続的回避と
全般的反応性の麻痺。

1 外傷と関連した思考、感情または会話を回避しようとする努力
 外傷を想起させる活動、場所または人物を避けようとする努力。
3 外傷の重要な側面の想起不能。
4 
重要な活動への関心または参加の著しい減退。
5 他の人から孤立している、または疎遠になっているという感覚。
 感情の範囲の縮小(例:愛の感情を持つ、理解する事が出来ない)。
7 未来が短縮された感覚(例:仕事、結婚、子供、または正常な一生を、期待出来ない)。

D. (外傷以前には存在していなかった)持続的な覚醒亢進症状で、以下の2つ(またはそれ以上)によって示される。

1  入眠または睡眠継続の困難。
2  易刺激性または怒りの爆発。
3  もの事への集中困難。
4  過剰な驚愕反応。

E. 障害(診断基準 B.C.D.の症状)の持続期間が1ヶ月以上続く。

F. 障害は、臨床的に著しい苦痛または、社会的、職業的また他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

急性 : 症状の持続期間が3ヶ月未満の場合。
  慢性 : 症状の持続期間が3ヶ月以上の場合。
  発症遅延 : 症状の始まりがストレス因子から少なくとも6ヶ月の場合。



このPTSDという症状の影には<地獄の底のような、心の傷>という重い意味の生活環境が隠れている時があります。

心に傷のない人など、この世には存在しませんが、傷の状態によっては、普通の人と同じに生活することが出来なくなります。
そして、多くの人は自分を責め、止まった時間の中でじっと、流しても流しても止めど無く流れてくる自分の血の沼で
溺れているのです。

原因があって結果があるのですが、その原因を責めるのではなく、原因に対する自分の思い違い、思い込みや屈折を修理して、
忘れることのない自分の傷を自分の一部と認めて生きていけるようなゴールに向けて、歩き始めることが必要になります。

これは言葉で言うような、生易しいものではありません。
治療の途中で、何度も逃げようと試み、死のうと試み、それでも逃げられなくて、向き合えなくて、体を丸めて喉が切れるほど
泣く。
それを獣のように、本能のままに誰かに訴えたくても、得体の知れぬ大脳皮質という理性は本能を押え込もうとする為混乱します。

あなたを「出来る限り理解したい、少しでも楽にしてあげたい」と言ってくれる治療者と、出会って下さい。
出会いたいと願って探せば、かならずいます。
探して下さい。
あきらめないで、出会って下さい。

そして、その治療者に出会えたら、どうか覚悟をして下さい。
ゆがんでケロイドのようにくっつきかけた傷は、もう一度切り開いてから治療をしなければならないのです。
だから、その傷にメスが(フラッシュバックというトラウマ想起反応)入れば、再び痛みが増し大量の血や膿も出るのです。
その痛みは、鋭くあなたの神経をゆすぶる事になるかもしれません。
フラッシュバックは、事件の時と同じ空気の香り、温度、壁紙の色、音、風景などでも簡単に想起される事があります。

でも恐がらないで、今度は治療者も一緒にあなたと苦しみを共に味わい、取り組んで行くのです。
何も隠さずに、本能のままに何でも訴えていいのです。
こわがらないで、あきらめないで、無理をしないで、少しずつ前に進んで行ってください。



消防士 や 警察官、ライフガードのみなさんへ

<災害ストレスについて> Critical Incident Stress
悲惨な事件、事故や災害の救助や処理にたずさわった経験の後には、必ずと言ってよいほどフラッシュバックが起き、
悲しみ、むなしさ、罪悪感、気持ちの落ち込み、悪夢、体験場面への固着感、対人関係の苦痛感、心身硬直、等々
様々な症状に悩まされます。

これは健康な人なら、当然出てしかるべき状態です。
ニューヨークの September11th. でカウンセリングを受けた、消防士や災害現場関係者の人達は
2500人あまりに及んでいます。
特に、消防士、警察官の人達は<Survivor’s Guilt>という、自分が助かったことへの罪悪感が深く心
を苛んだのです。

 災害ストレス の状態の特性
1 覚醒亢進 = ちょっとした刺激に反応してしまう(臭い、似た光景を見た時など)
2 回避 = 思い出したくないとかたくなに自分の感情を打ち消そうとする
3 侵入的想起 = 再体験、類似体験によるフラッシュバック(過去の瞬間場面の切り返し) 

  このような状態のままほっておくと、うつ状態、アルコール中毒などに移行する場合も考えられるので、
  適切な人に話したり、カウンセリングを受けて、経験した過酷な状態を内から外へ解放しなければいけません。
  ニューヨークの消防士、警察官たちも、はじめは『弱虫がCounseling を受けにいくものだ』と
  思っている人が多かったのです。

  でも、それは大きな間違いでした。
  目の前で経験した衝撃的な場面は、ビジュアルな記憶として脳の深い場所にインプットされ、
  脳から消えてなくなることはありません。
  だから、心が深く傷つくのが当たり前のことです。
  早く心を癒すために、手当て、が必要です。

<トラウマの記憶を根こそぎ取り除くことは出来ませんが、繰り返しワークすることで、心の平安や希望が旧皮質脳の
 中に中和記憶され、言葉に出しながら解放し、具現化されることで、少しずつ和らいでいく過程へと移行します>




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